第6回「中国進出の大切な条件の一つ」

2002年3月26日掲載

shr06日本の中小製造業の社長さんから、上海に進出したいという連絡を頂き、出張された際にお会いさせて頂いた。中国へ進出に先立ち一度、自分の目で上海を見たいとのことで視察を兼ねた出張だそうである。 取引先からのコスト削減要求と新規取引先開拓の価格競争で、中国進出を考えられたそうである。日本よりも人件費が安いとは聞いているがそれ以外のことは全く分からず、今後どうすれば良いのかとのご相談だった。

 中国への進出目的は、その会社の業種や内容によっても異なるが、今回のように製造拠点を中国に移管し日本国内で販売される場合は、「物流」がポイントになる。

 基本的に物流コストは、各社とも大鉈を振るってコスト削減の対象にしている。それだけに大切な条件の一つだと思っている。せっかくコスト削減の為に中国へ進出したが、物流費や輸送時間がかかってしまったということも良く聞く話である。どれだけ物流にコストや無駄をかけないかが重要になってくる。

 日本でも各地に工業団地があるが、その殆どが高速道路のインターに近い、あるいは空港から何分、東京(大消費地)まで何キロ等、交通インフラの整っている所に多くある。進出する企業の多くが今のよりも少しでも立地条件の良い場所に進出しようとするが、一般的に条件の良い所から離れると人件費や土地代は下がる一方、それに反比例して、横持ち時間などの物流コストは増えてしまう。

 中国に進出する場合も基本的には同じだ。日本からの船舶や航空機の便数や時間、現地スタッフ(中間管理職)、中国国内での交通インフラや雇用等を考えると、中国でも上海とその近郊が候補に上げられるのは、地の利があるからであろう。
その中でも交通インフラを考えなくてはならない。利用する上海の港や空港までの時間を知る必要がある。中国から日本へ商品を輸出入する際には必ず港や空港を利用する事になり今迄かかっていなかった物流コストや物流時間がかかってしまうことになるからである。

 また問題が発生した場合、遅くても明日までには何らかの回答を出さなければならないと言うことが非常に多い。取引相手先が大きければ大きいほど、自分の会社規模が小さければ小さいほど、その対応が大切になってくる。
 中国へ進出するからには、そういった対応も頭に入れて進出場所を決めるように心がけなければならない。

 上海の空港から工場まで車で2時間。問題もなくスケジュール通りに製品が完成し、工場からトラックやコンテナ車等で上海の港や空港までの横持ち時間が5時間。この範囲が、問題が発生したり納期の対応等で出張した際に対応可能な理想とする工場の立地条件である。

 中国進出を考える際には、目先のイニシャルコストだけでなく、物流コストについて考えることは、大切な条件の一つであると私は信じている。



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